おすすめ度:4
大人満足度:5
★はあくまで筆者の主観。大人満足度は大人向けの内容という意味ではなく大人が楽しめるかどうか。
制作年:2007年 〜 2012年
原作は640万部の発行部数(2020年6月)を誇る人気小説である。そのうえ漫画化、アニメ化、実写映画化と、こすられまくっている。たまたまテレビ放送で実写映画を先に見ておったのだが、だいたいアニメ化の人気にあやかった実写映画はつまらんのが相場、しかし本作は面白かったと記憶している。

面白さお墨付き👍
見どころ:厳しさもリアル。ほのぼのもリアル。
図書館で戦争? 恐ろしく場違いである。その設定は荒唐無稽だ。だが、そんな無理筋とも思える事象が、我々の住む世界に投げ込まれたときの、社会に与える影響や人々の心情などが、実にリアルに描かれている。このアニメでは、一人のヒーローが世界を救ったりしないし、悪の秘密結社も登場しないが、マスコミを巻き込んで世論を誘導する策略もあれば、現実の銃器類を使った真に迫った戦闘もある。ある意味ハードボイルド。大人が楽しめるアニメにこういったリアリティは必要だ。
ところが、このアニメの主人公は社会人デビューしたて女の子なのだ。強い正義感と実直さを持ち合わせるが、直情径行、正直アタマはあんま良くないけどフィジカルは大変強く、頑張り屋さんなのだが、心の内は恋に恋する乙女という、微笑ましくも応援したくなってしまう人物像だ。
つまり、社会派シリアスと、主人公が成長する青春物語とが、うまいこと同居しているのがこのアニメの面白さといえる。

大人が見てこそ面白いアニメだが、子供が見て問題になるようなシーンはないので、親子で見ても楽しめるぞ。
設定:焚書させないためなら銃撃戦も厭わず。
「公序良俗を乱す言説は許さん」として書物などを勝手に検閲し、没収して燃やしたりするヤバイ連中がいる。奴等は法的裏付けをもって組織化されており、軍でも警察でもないのに武装し、強権でもって表現の自由を著しく脅かしている。死傷者も出している。
これに対抗すべく図書館は一種の聖域のような場所となり、図書館員の一部は武装し、自衛手段を取り始める。主人公はその戦いに身を投ずることとなる。
まるで世紀末のディストピアのような書きようになってしまった。否。ごく当たり前の現代日本の日常の中に、表現の自由を奪おうとする「メディア良化隊」と、それを守る「図書隊」との抗争が描かれる。異常事態が居座って日常になった世界線。だから大多数の一般市民らは、表現の自由を奪われていることに無関心になってしまっている。

世論は必ずしも図書隊の味方ではないことに憤りを感じるが、それもまたリアルか。
ストーリー:武装とは最も縁遠いはずの人たちが、ガチで戦闘するし、日常業務もこなすし、恋愛もする。
メディア良化隊と図書隊との抗争を主軸として物語は進むのだが、このアニメは決してバトルものではない。知略を尽くした戦闘シーンも見ものではあるものの、そもそも国家が書物を検閲するということは、悪巧みをしている一部の為政者が都合の悪いことを隠蔽するためのものだから、当然ながら陰謀の影がちらつくし、政治的な駆け引きもある。悪計を企てる見えない存在に対し、実直に役目を果たす現場との対比、こういうヒロイズムにオジサンはグッときちゃうのだ。
また、理想を掲げる図書隊といえど一枚岩の結束ではないし、善人ばかりではない。逆に血も涙もない検閲を執り行うメディア良化隊の中にだって、まともな人間もいる。そういった本当に起こりえそうな状況を描く社会派シリアスが基本路線である。登場人物たちの人柄や、彼らのやり取りもまたリアルで、物語に引き込まれる。
とはいえ、図書隊にも司書としての日常業務があり、これもまた活き活きと描かれていて興味深い。そして、乙女な主人公の恋の行方を、ヤキモキさせられつつも温かく見守るのがこのアニメの正しい視聴姿勢である。

受難を乗り越えたからこそ感じられる晴れ晴れとしたもの。それを感じさせてくるのがアニメ『図書館戦争』。

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