おすすめ度:4
大人満足度:5
★はあくまで筆者の主観。大人満足度は大人向けの内容という意味ではなく大人が楽しめるかどうか。
制作年:2021年
このアニメ、エロありで大人向けでっせとYouTubeあたりで聞きつけ、多少なりとも邪な気持ちで見始めたのだが、エロとか関係なくとても面白かった。(そしてそんなにエロいわけでもなかった。)
ちなみに、某国営放送の大河ドラマとは何の関係もない。本作の場合、別に帝釈天でも持国天でも強けりゃ何でもいいような気はする。
見どころ:絵面からは想像しにくいが良く練られたアニメ
チカラのぶつかり合い、スピード感、主人公の修行による成長など、脳筋バトルアニメ的な面白さを持ちつつも、狡猾さと陰謀、単純なド突き合いだけでない知略、えげつなさとエログロさ、そしてテンポ良くしかも思いがけない方向へと展開し、まったく飽きさせない。
子供ウケをまったく考慮してない。完全に大人向けのアニメである。
映像も面白い。ポップな色使いがとても印象的だ。不快で残虐なエログロも、軽いタッチでコミカルに処理してしまう。これがアニメのいいところ。実写だと倫理的に受け容れがたいものになりかねない。
経験上、オープニングの曲とアニメがカッコイイ作品にはハズレが無い。映像はサイケデリックのようなそうでないような、何かよくわからんけどとにかく手が込んでる。
設定:荒唐無稽さの中から出てきたリアリティ
神(韋駄天)たちは必ずしも人間の守護者ではない。それがこのアニメの設定の面白いところ。単に魔族らにとっての天敵。魔族と見るやほとんど反射的に攻撃しようとし、魔族を殺すためなら人間が巻き添えになっても構わんという姿勢である。
神や魔族という前提条件はもちろん荒唐無稽なものだが、しかし細部に至ってはかなり合理的な設定が与えられている。神も魔族も人間を使って科学やITを駆使して戦うという不思議なリアリティ。双方に知性派や武闘派がいて適材適所、なんやかやで組織的に対峙する。
神=善、魔族=悪という単純な構図ではないところも大人向け
設定にリアリティがあるからこそ、時に長ったらしい説明的台詞が必要となるが、そこは何と!音声が倍速になるのだ。折しも、映画やドラマを早送りで見る若者について取り沙汰された頃だった。早送りで見ていたら絶対聞き取れない。冷やかしで見ているヤツらを拒否しているとも取れる。
この人を食ったような表現手法もまた我々大人を喜ばせる趣向。ちょいちょいおふざけをぶっ込んでくるので面白い。
ストーリー:手段を選ばぬ神と人智を得た魔族との仁義なき戦い
一般論からすると、主人公側(つまり韋駄天側)が最初は不利な状況に置かれ、逆境を跳ね返す形で物語が進んでいくものだと思うが、このアニメは逆である。何だ楽勝か?と思わせておいて、でもやっぱりそうは行かないところが本作の面白いところだ。地下に潜った魔族側が、頭脳と連携で盛り返していく様は見物だ。
印象的なシーンや台詞が多いし、もっと具体的に語りたいところだが、ネタバレになってしまう。思いもかけない展開も魅力のアニメなので、予備知識はこのくらいで。
一気見した後、二度見三度見したよ。
ベテラン声優てんこ盛り
声優のキャスティングにも力が入っている。その中でも緒方恵美さん(『エヴァンゲリオン』の碇シンジ)が最も台詞の多い役を演じていて、それゆえ本作のクオリティを押し上げている。その次くらいに台詞の多い役に石田彰さん(『エヴァンゲリオン』の渚カヲルが一般的な認知だろうけど、個人的には『銀魂』の桂小太郎)や、岡村明美さん( 『紅の豚』のフィオ)などなど、ベテランが大勢起用されている。
ベテランは芸が確立しているからか、ちょっと声を聞いただけで誰だか分かる。驚いたのはこの二人キャラクターが同じ声優(瀬戸麻沙美さん)だったということだ。たまたまググってみて判明したのだが、声だけ聞いていてもまったく分からなかった。声優さんすごいな。ラフタリアもカワイイいいけど、本作のピサラの方がはまってると思う。
- 左『平穏世代の韋駄天達』のピサラ:悪者、冷徹、なのに時々乙女。ドスの利いた声。
- 右『盾の勇者の成り上がり』のラフタリア:一途な女の子。カワイイ声。
悲報:第2期制作決まってない
こんなに面白いアニメなのに次期以降の制作は決まっていないようだ。あまり売れなかったのだろうか。だが、不朽の名作『カリオストロの城』も公開当初は興行的に失敗だったという。じわじわ来る系のアニメなのかもしれない。
2期目制作を切に願う。2期目決まればおすすめ★5にする。
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